木村拓哉が初めての医師役に挑んだドラマ『A LIFE~愛しき人~』(以下『A LIFE』)が初回の平均視聴率14.2%でスタートした。2回目は数字を伸ばし14.7%を記録。この数字が高いとみるか低いとみるかは今後の推移によって判断がわかれるが、妥当な数字ではなかっただろうか。
それは、過去の医療ドラマのヒットのキーワードをおさえていることによって、ある程度の成功が担保された部分と、だからこそ突き抜けることができなかったという「功罪」を併せ持つからだ。
では、『A LIFE』と過去の医療ドラマとの共通点はどこにあるのか。大きく3点挙げられる。まずは何といっても、人の命に直接関わり、また緊迫した手術シーンが展開される外科医の世界が描かれていることが挙げられる。
監察医が活躍する『きらきらひかる』や産婦人科医の世界を描いた『コウノドリ』など他の診療分野のヒットドラマもあるが、『振り返れば奴がいる』、『救命病棟24時』、『白い巨塔』、『医龍-Team Medical Dragon-』、最近の『DOCTORS最強の名医』、そして『ドクターX~大門未知子~』など医療ドラマのヒット作はほぼ外科医が主人公だ。
◇ライバルの存在は『白い巨塔』の財前と里見と共通
第二の共通点は、ライバルの存在だ。『A LIFE』では、木村演じる沖田一光の医師としての腕をねたみ、彼をかつて海外へ追いやった浅野忠信演じる脳外科医・壇上壮大の存在が不気味である。手が命の仕事だというのに、嫉妬に狂って壁に穴を開けてしまう姿は狂気すら覚える。