外国人観光客が日本を訪れてくるいわゆるインバウンドで、飲食の人気が伸びている。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。
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この数年、インバウンドにおける飲食消費の伸びが目覚ましい。1月に発表された観光庁の「訪日外国人消費動向調査2016」(速報版)では、旅行消費の総額3兆7476億円のうち飲食費は7574億円。この3年で2.6倍という急成長で、旅行消費額に占める構成比でも存在感を増している。
この数字を百貨店のような複合業態に例えてみると、事業全体は好調(対前年比107.8%)で、勢いのある飲食部門の売上は前年比118%、さらに言えばこの3年で2.6倍と絶好調。「爆買い」をするような太い客は減った(同88.5%)が、それを補ってあまりある集客(同122%)があり、今年も右肩上がりの成長を実現できた――。そんなところだろうか。
進行するグローバリズムのなか、インバウンドから「爆買い」のような”国境格差ビジネス”の存在感は薄くなっていく。世界的な消費トレンドは物販中心の「モノ消費」から、体験型の「コト消費」へと移行している。
そんな状況下でもインバウンドには期待が持たれている。その大きな理由は、訪日外国人旅行客数が、2016年の1924万人から翌年の1年間で2404万人へと21.8%増えたことだ。「爆買い」こそ一段落したものの、中国人観光客は2016年の観光客数では全体平均を上回る27.6%増の637万人を記録した。
その他の上位国も、東南アジアのインドネシア、フィリピン、マレーシアは約3割の伸び。欧米もアメリカの20.3%増やスペインの19.0%など軒並み2ケタ増と好調だ(唯一、ロシアだけ0.8%とケタ違いの微増に留まっているのが目を引くが、あくまでこれは余談)。