大阪が元気に見える。USJはディズニーに迫る勢い。日本維新の会はカジノ法制化で、与党と二人三脚を演じた。大阪は地方再生の象徴となるか。話はそう簡単ではない。『京都ぎらい』著者の井上章一氏は、「上方文化」の消失を憂う。
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カジノを誘致したがっている自治体は、いくつもある。なかでも、大阪府の鼻息があらい。府知事が、カジノ法案に反対する政党を、とりつく島もなくきりすてていた。そんな姿をテレビの画面で見せつけられ、のめりこんでいるんだなと、あらためて思い知る。
経済の活性化をもとめる気持ちが、わからないわけではない。しかし、やろうとしていることは賭博である。カジノという名の、モダンな賭場をこしらえようとしているのである。どうとりつくろっても、下品な方向につっぱしっているなという印象は、いなめない。推進をするにしても、もうすこし恥ずかしそうにふるまってほしいものである。
大阪府ならびに大阪市は、ここしばらく文化行政を軽んじてきた。維新の会が首長の座をいとめたころから、その傾向は顕著になっている。大阪フィルハーモニーへの支援を、たとえば停止した。また、文楽への援助もきりつめている。
そしてそのうえでカジノの導入に血道をあげだした。上品そうな文化はいらないけれども、下品な金儲けの途はぜひほしい。そんな姿勢を大阪府知事は、あられもなく全国へ見せつけたのである。
大阪は本音の街だと、よく言われる。えらそうな文化や学芸をむやみにはありがたがらない。何よりも銭勘定を重んじる商売人の都市であるという。この常套句になじんできた人なら、カジノへ傾斜する今の大阪をいかにも大阪らしいとうけとめようか。