2月1日、プロ野球の新シーズンが始まる。その中心にいるのがいまや押しも押されもせぬWBC日本代表の大黒柱・大谷翔平らを擁し、連覇を目指す栗山英樹・監督だ。本誌連載「逆説の日本史」を25年にわたって執筆中の作家・井沢元彦氏と、栗山監督の対談から、近い将来に大リーグ移籍が予想される大谷がいなくなったあとの日本ハムファイターズについて、ポスト大谷についての興味深いプランをお届けする。
井沢元彦(以下、井沢):ポスト大谷を見据えていかなければならないから大変でしょう。
栗山英樹(以下、栗山):翔平に代わる選手っていうのはなかなか考えづらいですが、それを育てる責任は感じています。ピッチャーでは有原航平や高梨裕稔。バッターでは巨人から入った大田泰示。彼は僕らがずっと欲しかったタイプの選手。斎藤佑樹にしても、もう一回原点に立ち返らせるために背番号を18から1にしました。彼が一番生きるのはどの場所かを自分で考えながら頑張らなきゃいけないシーズンです。
井沢:主砲の中田翔は、WBCでは日本代表の4番候補ですね。
栗山:翔も本当はもっと打てるはずなんです。どうしてもヤンチャな性格で集中力の持続がポイントになるんですが、本来は三冠王に近い数字を残せるはず。その自覚を促すために、あえて代打を出したりもした。動くこちらのほうがつらいんだっていうのを翔も分かっているから、動いたほうが彼の意識が変わると思うんです。
井沢:監督自身は今後、指導者としてどうされていくんですか?
栗山:ないですね。
井沢:ない?
栗山:何もないです。監督が終わったら、カブトムシやクワガタが捕れる山を今住んでいる(北海道の)栗山町につくったり、そういうことを。
井沢:まだ枯れる年じゃないでしょう。
栗山:僕はもともと能力がないんですよ。
井沢:それで日本一にはなれないでしょう。じゃあ、例えばGMをやってくれと言われたらどうしますか?
栗山:このチームのことは何でもやります。マネージャーだろうとスカウトだろうと、チャンスをもらって本当に感謝しているので。
井沢:他のチームから監督の要請があったらどうします?
栗山:それはイメージが全く湧かないですね。とにかく、今はこれが最後の仕事だと思って勝負しています。
※週刊ポスト2017年2月10日号