昨今、天皇の「譲位」「生前退位」が取り沙汰されているが、実は天皇の「譲位」は約65年前、日本の独立にも関わる重要事項として検討されていた。「昭和天皇が退位して皇太子(現天皇)に皇位を譲る」──そんなシナリオが記された機密文書の存在が明らかになった。
1月17日に文書を公表したのは米CIA(中央情報局)。約1300万ページに及ぶ文書には、東西ベルリンをつなぐ秘密トンネル、UFOや超能力に関する情報まで、1947年から43年間分のCIAの調査活動記録の一部が記されている。
米政府機関の機密情報を研究しているジャーナリストの江藤貴紀氏が解説する。
「CIAは一定期間を経過した文書を公開してきましたが、閲覧は国立公文書館の専用端末に限られていた。ところが今回はインターネットで公開され、全世界で閲覧できる。CIAに批判的なトランプ新大統領就任(20日)を控え、CIAの影響力を誇示する狙いがあったと見られています」
なかでも興味深いのは日本の天皇についての記述だ。サンフランシスコ講和条約が発効した1952年、後に首相となる中曽根康弘氏が国会で「天皇に御退位の意思があるなら政府はどう考えるか」と質問し、昭和天皇の退位問題が取り沙汰された。
「昭和天皇の動向にCIAは格段の注意を払っていたようです。“hirohito”で検索すると111のファイルがあり、そのうち6本はトップシークレット扱い。生前退位については、特に講和条約発効に前後して情報収集していたようです」(同前)