将棋界のトップ棋士の一人である三浦弘行九段(42)による前代未聞の“カンニング疑惑”は、第三者委員会が「不正の証拠なし」の結論を下し、日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)が辞任する事態に発展した。
公益社団法人である日本将棋連盟は谷川会長を含む8人の常勤理事を中心に運営されている。年明け早々に谷川会長と島常務理事が辞意表明したことで、2月6日に後任を決める臨時棋士総会が開催される。次期会長は、棋士会長を務めている佐藤康光永世棋聖(47)が有力だ。渦中の三浦九段の師匠である西村一義九段(75)は後任人事をこう評す。
「谷川会長は、20歳の時から将棋界のトップにいて、現在は永世名人ですから、棋士の中で絶大な信頼がある。(兵庫県神戸市出身で)大阪でみんなで飲みに行く時は黙ってお金を出して、それでいて威張らないから尊敬される。
しかし、これが組織の長として向いているかは別問題。今回の事件もそういった背景から起きた。(後任に名前の挙がる)佐藤さんは棋士としての実績は谷川会長の半分以下でしょうが、人柄はものすごくいい。リーダーとしては向いているんじゃないか」
折しも連盟は5月に開かれる定例棋士総会で、2年に一度の理事改選も控えている。西村九段は「残りの理事も全員職を辞すべき」とも語った。谷川会長と島常務理事の辞任だけでは足りないという主張である。
「ただ、常務理事のなかにも辞めたくない人がいて、(理事の中でも)意見がバラバラなんでしょう」
将棋連盟の理事は棋士総会で選任されるが、実際には総会に先立って行なわれる「予備選挙」でその人選が決まる。投票権を持ち、理事に立候補できるのは連盟の正会員(棋士及び女流棋士ら)の232人だ。現職棋士が理事として連盟を運営する現状には無理があるのではないかと西村九段に問うと、こんな答えが返ってきた。