1月17日、皇居では天皇、皇太子、秋篠宮の三者会談が、約1時間にわたり行なわれた。生前退位にかかわる天皇家の最終的な意思を確認する話し合いだったとされている。天皇家で意思の共有が進む一方、政府側でも1月20日の通常国会を控えて急ピッチで対応が検討された。
初閣議が行なわれた1月6日、安倍晋三首相と菅義偉・官房長官、そして事務方トップの杉田和博・官房副長官が生前退位をめぐる法整備の基本方針について、鳩首会談を開いた。杉田氏は生前退位の準備を進める内閣官房皇室典範改正準備室の最高責任者である。
この会談は首相動静では報じられていないが、譲位後の天皇の称号や住居、改元などについても突っ込んだ話し合いが持たれたと見られている。政治部ベテラン記者が語る。
「生前退位の場合、新天皇の即位や改元の時期は政府が決定する。どうせなら1月1日のタイミングで改元すればコンピュータプログラムの改定からカレンダーまで、国民生活への影響が最小限にできるというのは政治家ならではの発想です。
この会議が行なわれたことは、産経新聞が『元日改元』のスクープの中で報じた。それから各紙が裏取りに動いたところ、総理や官房長官もそうした考えに傾いていることがわかって後追い報道が出た」
産経新聞の1月10日付朝刊の元日改元報道では〈複数の政府関係者が明らかにした〉として具体的なスケジュールにも言及している。平成31年の元日に皇位継承にあたって行なわれる最初の儀式「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀(※注)」と、首相ら三権の長が新天皇に謁見する「即位後朝見の儀」を宮中で行ない、官房長官が新元号を発表する──という段取りが検討されているとの内容だ。
【※剣璽等承継の儀:皇位を継承した新天皇が、剣、勾玉、鏡の「三種の神器」のうち、「剣璽」といわれる剣の分身と勾玉、法律の公布文や条約の批准書などに使われる天皇の印「御璽」、叙勲の際に渡される証書に押される国の印章「国璽」を承継する儀式】