アイドルやその運営のTwitterアカウントには、たびたび名前のあとに「@●月●日ワンマン」などと言葉が加えられて告知されていることがあります。アイドルが複数、出演するイベントライブは毎日のようにどこかで行われていますが、ライブハウスやホールを借り切って「ワンマン」で行われるステージは、集客が難しいとも言われています。地下アイドルでライターの姫乃たまさんが、自身の体験から、ワンマンライブに込める思いや、初めて体験するお客さんに向けて、その楽しみ方を伝えます。
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私は地下アイドルをしていて、現在、2月7日にワンマンライブを控えています。会場は渋谷にあるWWWという400~500人規模のライブハウスです。しかし私は、いつもこの規模の会場でばかりライブをしているわけではありません。普段はだいたいWWWの半分くらいの会場に、よく出演しています。
そもそも、単独公演が基本のメジャーなアイドルに対して、地下アイドルのライブには通常、複数の出演者がいます。私も普段は共演者がいる中でライブをしていますが、ワンマンライブは自分だけで、いつもよりも広い客席を埋めなければいけません。地下アイドルにとってワンマンライブは、長時間ひとりで舞台に立つ、数少ない機会です。そして、歌やダンスの技術力だけでなく、集客力による人気や、世間的な注目度も試される一大イベントなのです。
普段のライブでは、予約漏れによるトラブルを防止するために、受付で「姫乃たまの元彼です」と言うと誰でも前売り料金で入場できるようにしているのですが(ちゃんと予約してくれた人に申し訳ないので、少し恥ずかしい合い言葉にしています)、ワンマンライブはイープラスチケットのほかに、きちんと手売りチケットも用意しました。
チケットは普段のライブで、物販の時に販売していましたが、ライブに行くのは敷居が高いと思っている方にも届くように、ドサ回りツアーと称して、1日で8カ所のレコード屋と居酒屋でライブをしてチケットを手売りしました。全箇所に着いてきて応援してくれた熱心なファンもいました。
ワンマンライブの前は集客に気を取られがちですが、最も大事なのは当日のパフォーマンスです。私は新しいアルバムをリリースしたばかりだったので、振付師の先生を招いて、ファンの人の意見を汲みながら振付をつくるイベントを数回に渡って開催しました。新しく振付を作る会なので、練習は個人でしています。
また、前回のワンマンライブの時は、万全に準備して気合いを入れて会場に行ったのですが、ライブハウスのスタッフさんと温度差を感じてしまったので、今回は普段からお世話になっている音響さんや照明さん、映像のスタッフさんに仕事を依頼しました。普段のライブでは自分でやっているヘアメイクも、プロの方にお願いしています。
普段の地下アイドルのライブは、出演者の人数が多いので、それぞれの持ち時間が短く、代わりに終演後、長めの物販時間が設けられています。メジャーなアイドルや、他ジャンルのミュージシャンを応援してきた人は、ライブが20分で、物販が1時間という地下アイドルのライブにカルチャーショックを受けたと言います。
しかし、物販で会話をする時間が長い分、ファンとの結びつきが強いのも地下アイドルの特徴です。