人気ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)では、堤真一のさえないサラリーマンぶりが好評だが、もうひとりツイッターを中心に話題を集めている出演者が佐藤二朗(47才)だ。毎回、さまざまなキャラを演じ分け、堤と絶妙のかけあいを見せるのだが、2人のやりとりはなんとアドリブだという。佐藤のアドリブ芝居の進化について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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『スーパーサラリーマン左江内氏』で、ネット上の反応が最も多いのは、佐藤二朗さんの登場シーンです。各話3分弱のワンシーン限定出演ながら、1話ではカラオケボックス、2話ではバッティングセンター、3話では漫画喫茶の店員として、堤真一さんと抱腹絶倒のかけ合いを見せました。
いかにも佐藤さんらしいのは、それぞれ「テンションゼロの中年フリーター」「ふた昔前の少年野球コーチ」「コミュ障だけど雄弁なオタク」など、キャラクターの裏設定があること。どもったり、息が切れたり、あくびをしながらしゃべったり、語尾に「ザンス」「ゾイ」「左様」「バカヤロー」を出し入れしたり、話し方や表情をガチャガチャのように変えています。
驚かされるのは、堤さんとのかけ合いが「本番のみの一発勝負」であること。堤さんは、「佐藤さんがどんなキャラクターでどんな演技をするのかまったく知らない」状態で撮影に挑んでいるため、「2人がどんなアドリブ演技を見せるか」というドキュメント要素があるのです。ちなみに1話で2人が“恋ダンス”を踊ったシーンも、佐藤さんは事前に振り付けを見せてもらえず一発勝負でした。
佐藤さんのアドリブは、昨年放送の『ニーチェ先生』(日本テレビ系)でも爆発していましたが、今作では堤さんとの化学反応でさらなる進化。「笑いの裏に密かな緊張感や違和感が透けて見える」という点では、笑福亭鶴瓶さん司会のアドリブ芝居番組『スジナシ』(TBS系)を思い出させるものがあります。