3月開幕の野球の世界一決定戦・WBCを前に、日米をはじめとする各国の人気選手の調整具合に注目が集まっているが、投資家たちは、ちょっと趣の違う“球団同士”の戦いぶりに注目していた──。
◆下位打線に世界最大手
日本の投資家の間で“13チーム目の人気球団”が生まれたのは1年ほど前のことだ。その球団名は「日経ヘイキンズ」。
日経平均が年初から5営業日連続で下落した2016年1月8日、あるネットユーザーが〈日経ヘイキンズ 開幕5連敗〉とつぶやいたのがきっかけで、球団が“創設”された。以来、日経平均株価が前日終値より上昇すれば「勝ち」、下落すれば「負け」──といった具合に日経平均の値動きを野球にたとえるネット上の書き込みが相次ぐようになったのだ。
2017年の日経ヘイキンズは、開幕戦(大発会)を479円高というこの20年なかった大勝で白星スタート。しかし、その後は勝率5割をキープするのがやっと。ファン待望の2万円突破を前に足踏み状態が1か月続いている──。
こんなふうに表現すると、株価上昇を願う投資家たちは応援により熱が入るし、景気動向が“とっつきやすい言葉”に変換できる。その手法に倣って本誌・週刊ポストは今回、米国の「ダウ平均株価」でチーム結成を試みた。専門家の助けを借りながら「NYダウズ」と日経ヘイキンズの戦いぶりを“解説”することで、世界経済の先行きがよりわかりやすく見えてくるのではないか──という仮説である。
まず、NYダウズの強さの理由をフィスコの株式・為替アナリストの田代昌之氏が解説する。
「日経ヘイキンズは225人の選手(銘柄)のいる大所帯ですが、ダウズは支配下選手がわずか30人の少数精鋭チーム。しかも波に乗っている選手をトレードやFAで集め、どんどん選手を入れ替えるのが強さの秘訣です。最近では、2015年に年俸(時価総額)世界最高のアップルを加入させる大型補強が話題となりました。堅調な経済情勢などを背景に、連戦連勝を続けています」
最近のダウズの好調の背景には、新オーナーであるドナルド・トランプ大統領の経済政策への期待がある。オーナー着任5日後の1月25日には史上初となる2万ドルを突破した。
そんなダウズのスタメンを選ぶとしたら、どんな顔ぶれになるのか。日経平均やダウ平均などの株価指数は、構成銘柄の「寄与度(構成率)」に差がある。その値動きがチームの勝敗に直結する寄与度の高い銘柄を中心に、オーダーを組んでみた。