国際情報

三橋貴明氏「日本経済復活のため、中国は不要と断言せよ」

経済評論家の三橋貴明氏は「中国不要論」を唱える

 日本の領海を幾度となく侵犯し、挑発を繰り返す中国。明らかに経済は失速しているのに、それでもGDPは6%以上の成長を続けていると平気でウソをつく。すでに外資は次々と中国から撤退し、AIIBも機能不全。経済で行き詰っているのは確実だ。世界で資源を買い漁り、デフレを輸出し、南シナ海を自国の内海としようと膨張主義を続ける隣国に対し、日本はどう接していけばいいのか。新刊著書『中国不要論』(小学館新書)が話題の経済評論家・三橋貴明氏に話を聞いた。

 * * *
 一部の新聞やテレビなどの大手メディアや数多くの言論人の中には、『日本経済は中国に依存している。だから、中国を刺激してはいけない』などというレトリックを使うが、明らかなミスリードである。対中輸出依存度は2.8%に過ぎない。そもそも、日本は中国に依存などしてはならない。理由は簡単だ。現在の中国は、我が国固有の領土である尖閣諸島への領海侵犯を繰り返す侵略国家であり、日本を敵視する仮想敵国だからだ。

 日本国民の多くが理解していないような気がするが、すでに中国との武器を使わない“戦争”は始まっている。その一つの手段が、尖閣諸島への実効支配強化であり、さらには主に経済に関する情報操作だ。相手国を支配するには、偽情報を流布し、不景気に陥れることが手っ取り早く安上がりな方法なのだ。

 そんな仮想敵国に対し、1989年以降、日本の企業経営者たちは「自社の利益」のために、続々と中国に拠点を移していった。政府までもが、それを後押しした。

 結果的に、日本国内から雇用の場が失われていった。国内の労働市場で労働者同士の競争が激化し、実質賃金は下落の一途を辿る。すなわち、日本国民が貧困化してしまった。

 日本から資本が移ってきた中国側では、人民(中国に「国民」はいない)の雇用の場が生まれ、さらに資本蓄積により経済力が強化された。日本が長引くデフレで経済が停滞する反対側で、中国のGDPは増加の一途を辿った。

 すでに、中国のGDPは日本の二倍を超えてしまっているが、税率が同じだと仮定すると、これは「中国の財政規模が、日本の二倍」であることをも意味するのだ。財政規模が大きくなれば、軍事力の強化も容易になる(中国の場合、GDP成長以上のペースで軍事費を拡大しているが)。グローバル投資家の圧力を受け、あるいは自ら率先して日本企業の経営者が対中国の直接投資を拡大していった結果、日本は防衛安全保障までもが危険な状況になりつつある。

 グローバリズムに基づく「利益の追求」が、日本国の安全保障を危機に追いやった。これが、過去四半世紀の日本の現実である。

 にもかかわらず、日本は中国に経済の五要素について、依存を強めている。経済の五要素とは、経済力(供給能力)の三要素である資本(モノ)、労働(ヒト)、技術に、資源と需要を加えたものだ。経済力は、モノ、ヒト、技術で構成されるが、同時に資源や需要が十分に存在しない場合、資本主義の発展はあり得ない。

関連キーワード

トピックス

女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
運転中の広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
《広末涼子の男性同乗者》事故を起こしたジープは“自称マネージャー”のクルマだった「独立直後から彼女を支える関係」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(写真は2023年12月)と事故現場
《広末涼子が逮捕》「グシャグシャの黒いジープが…」トラック追突事故の目撃者が証言した「緊迫の事故現場」、事故直後の不審な動き“立ったり座ったりはみ出しそうになったり”
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン