国際情勢は風雲急を告げている。米国でのトランプ大統領就任、英国のEU離脱、そして中東やヨーロッパを中心に巻き起こる無差別テロ、国際紛争……。しかし一方で、そういった世界の重大ニュースに対する日本人の関心は決して高くないという現状がある。ビートたけし氏は、著書『テレビじゃ言えない』の中で、こうしたニッポン人特有の性質について分析している。
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政治の話をしていて特に思うことだけど、ニッポン人は、どんどん「当事者意識」がなくなってる。相変わらずの投票率の低さってのは、まさにその象徴だろう。
だけどニッポンは、こんなことでいいんだろうか。世界中で無差別テロは止まないし、シリアやら情勢不安の中東から流入する移民でヨーロッパは揺れている。イギリスではEU離脱を決めた国民投票もあった。すぐ隣の北朝鮮だって、いつ暴発して難民が押し寄せてくるかわからない危険を孕んでいる。
これまでパレスチナ紛争ではノーベル平和賞受賞者が出たりもしたけど、まったく解決には至っていない。もうこれだけ問題がこじれてしまえば、「平和を」なんて何度叫んだって意味がない。
「第一に○○をする」「第二に××をする」ときちんと解決への筋道を提示して実践できたら、その人にノーベル賞を5個やってもいいと思うぐらいだ。
それくらい世界中で真剣に考えなきゃいけない問題がたくさん起こってる。それなのに、ニッポンじゃ話題になるのは『ゲスの極み乙女。』やショーンKのスキャンダルばかり。政治の話題だって、小物の政治家のセコい汚職ぐらいが賑わすばかりだ。
問題の深刻さがまるで違うのに、ニッポンじゃ国内のどうでもいい話題のほうが注目を集めて、国際問題はほとんど見向きもされない。
もしかしたらニッポンは世界の中で「テレ東」みたいなもんなのかもしれない。