ここ最近、人気バラエティー番組が曜日を移動したり、時間帯を移動したりといったケースが増えている。4月からは、『ザ!世界仰天ニュース』が水曜夜9時から火曜夜9時に、『嵐にしやがれ』(以上、日本テレビ系)が土曜夜10時から夜9時に繰り上がる。また先月1月から、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)が金曜夜8時から10時に、討論番組『好きか嫌いか言う時間』(TBS系)が月曜夜8時から10時に。さらにスタート当初は日曜夜7時に放送されていた情報番組『この差って何ですか?』(TBS系)は、去年10月から火曜夜7時に移転している。こうして相次ぐ「枠移動」、それぞれの背景とは――。
◆視聴習慣が定着していた長寿番組の枠移動の事情
今年で17年目を迎える『ザ!世界仰天ニュース』。その裏番組は、『相棒』(テレビ朝日系)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)といずれも人気番組が並ぶ激戦区だ。だが移動先の火曜夜9時も、『マツコの知らない世界』(TBS系)、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)があり、日テレとしては決して気が抜けない枠だ。
「さらなる激戦区にあえて移動する狙いは“マツコ対策”でしょう。『マツコの知らない世界』の人気を支えているのはF1層(20~34歳)、F2層(35~49歳)といって、スポンサー企業が一番自社商品を買ってほしい視聴者層だといわれています。しかし、もともと“マツコ”の裏で放送されていた『解決!ナイナイアンサー』は狙いたいターゲットがあいまいで、しかも日テレの『家族揃って見られる』というカラーにやや反していた傾向がありました。つまりマーケティングの観点と、局のイメージを考慮して『ナイナイアンサー』を打ち切り、F2層には特に強かった『ザ!世界仰天ニュース』を持ってきて、“マツコ”の視聴者を切り崩そうとしているのかもしれませんね」(放送作家)
だが、安定していた長寿番組の曜日移動は、もともとの視聴者を失いかねないリスクもある。TBSで人気を誇っていたアトラクションバラエティー『関口宏の東京フレンドパークⅡ』は、20年近く月曜夜7時に放送されていたが、2009年、平日の夜6~7時台がニュース番組になることを受けて「木曜夜8時」に移動。しかしこれによって視聴率が低下、ニュース番組が打ちきりになったことを受けて再び月曜夜7時に戻ったものの続かず、1年で終了してしまった。
「長寿番組は視聴者の生活リズムの中に組み込まれています。『仰天ニュース』も、水曜から火曜に移ったことがどのように影響するのか注目です」(前出・放送作家)
◆前の番組からそのまま見てもらう「流れ」重視の編成を強化