コラムニストでデイトレーダーの木村和久氏が、近頃気になるニュースをピックアップし独自の視点で読み解きます。今回は、シルバー世代向けの早朝サービスについて考察。
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最近、早朝午前7時から営業を始める店舗のニュースが、ふたつ飛びこんで来ました。いずれも、早起きのシニア世代をターゲットにした営業をしており、すこぶる好評だそうです。けど比較する店舗が、ギャンブルと健康維持活動ですからね。この好対照が実に面白い。順に紹介しましょう。
まず、日本のギャンブルを代表する、パチンコのお話から。我が故郷、宮城県石巻市の早朝パチンコが、話題になっています。なんと石巻のパチンコ店は、朝7時に開店します。ゆえに「日本で一番早く開店するパチンコ店」の称号を得ています。あまり、“栄誉”ではありませんけど…。
石巻地区にある、約20軒のパチンコ屋さんは、もともと9時開店でした。東日本大震災以降、高齢者からもっと早く開店しくれとリクエストがあったそうです。それに応えて8時開店になり、やがて週末は7時開店となり、今や平日も7時開店の店がちらほら現われています。
もともと、石巻はパチンコが盛んでした。すでに10代から、どっぷりパチンコに浸かっている人も多いです。しかも今のシニア層は、パチンコ全盛時代を謳歌した人たち。今の若者もパチンコをしますが、スマホゲームや他のレジャーも楽しみます。そう考えると、田舎のシニア層には、パチンコ以外はあまり娯楽がありません。強いて言えばカラオケや釣りぐらいですか。カラオケはメンバーを募らなければならないし、朝から歌えない。ひとりで冬の釣りも厳しいでしょう。やはりふらりと行って、暖かい室内でぬくぬくしたい。そうなるとパチンコが手っ取り早いのです。
パチンコに早朝出かける人たちは、確かにシルバー世代が多いようです。ようするに時間だけはある、リタイヤ組です。仕事をしてないから早朝パチンコに行けるわけで、年金をもらいつつパチンコで暇つぶし…、それはそれで楽しい老後だと思います。人気は通常4円の貸し玉が、1円になっている機種です。1円パチンコだと、2000~3000円で、半日遊ぶこともできますから。
ただ同じシルバー層でも、生活保護受給者や震災の支援金などで生活している人が、パチンコをするのは、どうなのでしょう。国や自治体からのお金、簡単に言うと税金を使っていることになります。あまり、好ましくはありません。けど、パチンコ以外、例えばカラオケはいいのか? 回転寿司は贅沢なのか? と、個別で言いだしたら、線引きが難しくなります。