昨年12月に開催された『M-1グランプリ2016』でチャンピオンに輝いた銀シャリだが、これまでのM-1王者に比べてテレビへの露出が少なく、寂しく感じる視聴者も少なくないことだろう。前年覇者のトレンディエンジェルがいまだ勢いを持続している一方で、銀シャリのM-1特需は終わってしまったのだろうか? 銀シャリは橋本直(36)と鰻和弘(33)により、2005年に結成された本格派漫才コンビ。その実力を認められていながら“ブレイク感”が薄いのはなぜか、お笑い評論家のラリー遠田さんが解説する。
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銀シャリが「あまりテレビに出ていない」と感じているのは、関西以外の方だと思います。銀シャリは大阪ではすでにレギュラー番組を何本も抱える売れっ子芸人で、テレビの仕事だけでなく劇場にも引っ張りだこです。M-1で優勝したからといって、東京での仕事を急には増やせない事情があるのです。
では東京に進出する環境が整えば銀シャリもすぐに全国区でブレイクするかというと、そう簡単な話ではありません。今、東京のバラエティー番組でオファーの多い芸人は、イケメン芸人、キャラ芸人、いじられ芸人です。銀シャリの二人はそのいずれにも当てはまりません。
銀シャリの売りといえば安定感のある正統派漫才ですが、正統派ゆえの“いじりにくさ”もあります。たとえば出川哲朗さんのようないじられ役の芸人を落とし穴に落としたら笑いになるけれど、正統派の人に同じことをすると微妙な空気になる恐れがある。銀シャリがしっかりとしている分、東京のバラエティー番組では使われる場面が限られてしまうのです。