「私が診た患者さんで、左肩が痛くて腕が上がらないとおっしゃる50代後半の女性がいらっしゃいました。
丁寧に話を聞いてみると、腰やふくらはぎにも痛みがあり、過去には、右足首をひどく捻挫したことがあるとのこと。そうした既往歴(過去の病歴)から、肩の痛みは肩そのものだけではなく右足首にも原因があると推測し、肩と足首の両方について“筋膜リリース”の施術を行なったところ、女性は腕が楽に上がるようになりました」
そう語るのは首都大学東京健康福祉学部の竹井仁教授(理学療法士・医学博士)だ。竹井氏が提唱する「筋膜リリース」は肩こりや腰痛を解消する新しい手法として話題を呼んでいる。
2016年6月に発売された著書『自分でできる!筋膜リリース パーフェクトガイド』が、1~2月にかけて『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で紹介され、Amazonの書籍総合ランキングで1位に浮上(2月14日時点)。22万部突破のベストセラーとなっている。
「これまで行なわれてきたマッサージや薬剤注射は多くが対症療法です。一方の筋膜リリースは痛みやコリの根本原因を探り出し、これを改善していく療法です」(以下「」内は竹井氏)
厚労省の国民生活基礎調査(2013年)によると、肩こりの自覚症状を持つ日本人は約1179万人、腰痛は約1328万人に及ぶ。その“国民病”に悩む人たちにとって、“根治”はまさに悲願といっていい。