金田正一氏83歳、高橋由伸監督41歳。キャンプ地に訪れた自分の倍の年齢のレジェンドOBを巨人・高橋監督は最敬礼で迎えた。「監督がどういうものかわかりかけてきましたが、まだまだです」と、恐縮しきりの高橋監督。本邦初対談が始まった。
「就任直前まで選手としてグラウンドに立っていたので、今のチーム状態は見えていました。原(辰徳・前)監督が“チームが下降気味にある”といわれていましたが、これを作り変えないといけないと選手としても感じていました。でもジャイアンツは一からは作り直せない。勝ちながらどうやって作っていくかを悩みました。
昨季は大きな補強がなかったうえ、坂本(勇人)は伸び悩んでいたし、阿部(慎之助)、村田(修一)、長野(久義)はまだまだできるはずだと思っていた。中堅やベテランを復活させないと勝てないことはわかっていたし、ベテランが活躍すれば若い選手を使える余裕が出ると考えていたんですが……」(高橋)
正直な思いを大先輩に打ち明ける。カネやんはそんな青年監督を昨年1年見守り、こう感じたという。
「ベンチでジェントルマンだよね。裏でモノを蹴飛ばしたりしとらんのか? 怒りはどこにぶつけるんじゃ」(金田)
「ゲームでの怒りはいっぱいあるんですが、そこで感情を出しても解決しないと思っています。監督室に戻っても暴れはしませんが、“頭にくるなァ、アイツをすぐに二軍へ落とせ”とやることはよくありますよ(苦笑)」(高橋)
見た目に反し意外に熱い面があることを吐露。安心したカネやんは「その意気だ! 若手も蹴飛ばして育てればいいんだ!」と助言したが、「それはさすがに……」とやんわり拒否された。
話題は今季のチーム編成へ。
「野手の中心は坂本、投手は菅野(智之)ですね。坂本は松井(秀喜)さんから軸足の話を聞いてから球のとらえ方が良くなりました。意識を変えたことで感覚が変わったようです。あとWBCとかで他球団の主力と集まる機会が多くなり、山田(哲人=ヤクルト)や筒香(嘉智=横浜)、秋山(翔吾=西武)などの同世代の選手と技術の話をするらしい。坂本は器用なのですぐできるそうです。
一方の菅野は投球内容はいいのですが、数字がそこまでいいとは言い切れない。菅野の試合で打てなかったこともありますが、その日の状況、調子で勝つ野球を目指して欲しいですね」