2月4日の京都第7レース。7か月半ぶりに出走したウオッカの子・タニアノバンシーの馬体重は前走よりプラス30キロの512キロで、その増量は競馬ファンを驚かせた。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、馬体重の増減と走りの関係について解説する。
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体重はある程度あったほうがいい。馬体の重さと大きさはストライドの大きさにつながるし、接触時の安定にも有効です。逆にデメリットは脚元のケガが多くなることです。
レース前には前走から何キロ変化したかが表示されます。馬体重の増減はヨーロッパの競馬では重視されないようですが、馬の体調を知るうえでは重要なファクター。馬券検討にも大いに参考になると思います。前走からのプラスマイナスだけではなく、何走か前までさかのぼってみてください。
馬体に脂肪が乗ってくる冬場は体重が増えやすく、夏場は減りやすい。この場合は10キロ程度の増減に神経質になることはありません。
大事なのは馬齢。4歳半ばまでの体重増は成長分であることが多い。休み明けに大幅な体重増があっても、馬のシルエットが太くなければ問題ありません。
タニノアーバンシーの場合、シルエットが太くなかったので、体重増が競馬でマイナスになったということではありません。いわゆる「成長分」といっていい。直線で伸びきれなかったのは、半年以上競馬から離れていたからでしょう。息遣いができておらず、レース勘も戻っていなかった。
体が絞れているのに体重が増えていくのが理想です。だいたい4歳半から5歳までに体格が完成されるので、そのときのレースで結果が出た「連対体重」などが目安となります。