いま、日本経済の「低成長」をめぐって新聞や雑誌、インターネット上でもさかんに議論が交わされている。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本の「低成長」とどのようにして付き合ってゆくのがよいのか、解説する。
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以前、現在、日本経済の低成長を容認するか否かの論争が盛んになっていることを取り上げ、労働力人口が増える見込みがない以上、もはや日本は成長しえないという現実を受け入れて国家は「無駄な抵抗」をやめ、予算を可能な限り削減していかねばならない、と述べた。
では、そういう低成長時代を前提に、国民一人一人はどうすべきなのか?
バブル崩壊後の「失われた20年」を経ても給料は上がらず、税金や社会保険料の負担は増える一方だ。年金財政の破綻懸念も強まるばかりで、多くのサラリーマンが将来に不安を感じているだろう。
ただし、国の経済が低成長やマイナス成長であっても、個人が一蓮托生で沈んでいく必要はない。逆に、そういう時代だからこそ、自分は大いに成長するチャンスがある、と考えるべきだと思う。
バブル崩壊前までの日本は経済がおおむね右肩上がりで成長してきたため、誰しも昇進昇給があり、終身雇用を終えて定年退職したら、すぐ年金生活に入ることができた。しかし、今は昇進昇給が難しい上に終身雇用は危うくなり、定年退職してから年金が支給されるまでの間に貯蓄を食いつぶす人も少なくない。
そういう状況になりたくなければ、40歳を過ぎたら残りの人生の全体設計を考え、サラリーマンの安定収入があるうちに起業や副業のための新しいスキルを身につけたり、社外のネットワーク作りに励んだりして、「定年後も自力で稼ぐ方法」を研究・実験(できれば実証)しなければならない。