中国ではPM2.5(微小粒子状物質)などによる大気汚染などの環境被害が大きな社会問題としてクローズアップされ、住民の工場建設などの反対運動が強まっているが、黒龍江省大慶市政府は2月中旬、総投資額460億元(約7600億円)もの巨費をかけた大型プロジェクトであるアルミ工場の建設計画を当面中止する決定を下したことが分かった。
中国紙「新京報」など中国メディアによると、大慶市政府は2006年から中国のアルミ製造最大手の忠旺グループに接触し、大規模なアルミ製造工場の誘致活動を開始。双方は2011年2月、年産量200万トンの特大高精度アルミやアルミ合金加工材プロジェクトの提携枠組み協定で合意し契約書に調印した。
市政府は工場建設のために、敷地面積13平方kmという広大な用地を提供、工場の総建築面積は500万平方mにも及ぶ。
しかし、工場建設予定地は東北石油大学やハルビン医科大学大慶校を中心に、小中高校など多くの学校や住宅がある文京地区に隣接していることや、生活用水に使われる貯水池から1kmしか離れていないこともあって、住民による反対運動が大々的に展開された。
ネット上では、有識者団体が発表した市政府に対する公開質問書が掲載され、「プロジェクトが完成すれば、47本の巨大な煙突から、毎日20トンの二酸化硫黄ガスが排出され、年間では230トン以上の有害物質がたれ流される。さらに、工場が毎日消費する工業用水は8万トンで、その大半が有害物質を含んだまま流される」などとの深刻な環境汚染の実態を指摘している。