高い支持率を維持する小池百合子・東京都知事に、都議会のみならず、国政までもが翻弄される状況が続いている。築地市場の豊洲移転問題を巡っては、石原慎太郎・元都知事を証人として召喚する百条委員会設置の動きが進む。
もともと小池氏の持論は「豊洲移転」ではなく「築地建て替え」だ。2008年に出版した共著『東京WOMEN大作戦』(小学館)でも、築地市場について、
〈現在の場所で建物だけを建て直すのが一番妥当と思われる〉
〈(環境的に問題がある豊洲新市場は)食との関係の薄い分野で活用すればよい〉
──と書いていた。ただし、築地の再整備は容易ではない。最大のネックは、「すでに整備を進めてしまった豊洲をどうするか」である。
そこに小池氏にとって築地建て替えの障害を解決するウルトラCとなり得る動きが浮上した。昨年12月18日、小池氏は都内のホテルで中国ネット通販(EC)最大手「アリババ」グループ創業者のジャック・マー氏(現会長)と極秘会談したのである。
ネット通販業界に詳しい流通業界誌の幹部によれば、日本市場への本格進出を図るアリババは、小池都政のお荷物になっている豊洲の行方に強い関心を抱いているという。「東京都が豊洲を売却する気があるかどうか、その感触をつかむためにまず都知事と会って旧交を温めた」と見ているのだ。
アリババにとって豊洲新市場の施設(延べ床面積約40万平方メートル)には、どんな利用価値があると考えられるのか。都心へのアクセスの良さを利用した物流拠点、アジアの観光客を呼び込む物販・アミューズメント施設、ネットワーク機器やサーバーを設置するデータセンターなどが推測される。
アリババによる豊洲買収は同社の日本でのビジネス展開においても、豊洲移転計画の抜本的見直しを迫られている小池氏にとっても、ウインウインの取引になる可能性が十分にある。