プロ野球のキャンプインから1か月。紅白試合が始まり、いよいよオープン戦へ向けて球界が盛り上がる一方で、スポーツ紙が“軌道修正”を始めるのもこの時期からだ。2月初旬に“絶好調”だったはずの選手がシーズン開幕時は一軍にいないこともざらだ。なぜそんなことが起きてしまうのか──。
なかでも目を引くのは、ソフトバンク・松坂大輔(36)の復活報道だ。
メジャー帰りの“元”豪腕は“眠れる獅子”となって久しいが、今年は西武黄金時代の「投げ込みフォーム固め」で猛アピール。視察に訪れたWBC日本代表・権藤投手コーチに〈キューバ戦任せたぞ〉(2月5日、スポーツ報知)、工藤監督には〈下半身の動きが去年と全然違う〉(2月4日、サンケイスポーツ)といわしめたことが取り上げられた。
紙面の景気を良くしているのは、新外国人・カミネロ(29、巨人)も同様だ。この守護神候補は「自称・最速166キロ」の右腕で、紅白戦の様子が、〈阿部(慎之助、37)見逃しK〉(2月13日、日刊スポーツ)と大々的に持ち上げられた。
不思議なのは、ケガで「別メニュー調整中」のはずの選手たちまで、見出しだけ見ると“絶好調”に思えてしまうことだ。今季FA宣言して新しいユニフォームに袖を通した、阪神・糸井嘉男(35)と巨人・陽岱鋼(30)である。
糸井は1月の自主トレ中に右膝関節炎と診断されたにもかかわらず、キャンプの打撃練習が〈糸井「えげつない」〉(2月12日、大阪日刊スポーツ)と報じられた。右肋骨の故障を抱える陽も〈守備力の高さをアピール「まるで新庄(剛志)」〉(2月6日、スポーツ報知)と持ち上げられていたが、9日の練習中に下半身の張りを訴えて以降は別メニュー調整中である。
やはりこうした記事は信用できないのでは? その答えを一足早く教えてくれたのが、ハンカチ王子こと斎藤佑樹(28、日本ハム)である。