ドラマ通の間で絶賛されている連続ドラマ『カルテット』(TBS系)。その演出を手掛けるのが、土井裕泰さん(52才)だ。TBSに所属しながら数々のヒットドラマ、映画を生み出してきた。その演出術が、『カルテット』の高評価を支えているのは間違いない。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、土井演出の秘密に迫る。
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脚本を手掛ける坂元裕二さんや、松たか子さん、満島ひかりさん、高橋一生さん、松田龍平さんら主要キャストへの称賛が目立っていますが、もう1人の重要人物である土井裕泰さんのことはあまり語られていません。
『カルテット』のチーフプロデュース・演出を手がける土井さんは、まさに司令塔。会話劇にサスペンスを絡めた坂元脚本を前面に出しつつ、一方でキャストの技量を試すような抑制を効かせた演出で、美しくも不穏な世界観を作り出しています。
そもそも土井さんは1990年代に『青い鳥』で野島尚さん、『魔女の条件』で遊川和彦さん、『美しい人』で野島伸司さん、2000年代に『夢のカリフォルニア』で岡田惠和さん、『GOOD LUCK!!』で井上由美子さん、『マンハッタンラブストーリー』で宮藤官九郎さんなど日本トップの脚本家とタッグを組んできたTBSのエース演出家。映画監督としても、『いま、会いにゆきます』『ハナミズキ』『映画 ビリギャル』などのヒット作を次々に手がけてきました。
作品のテーマを問わない仕事ぶりは、ラブ、サスペンス、コメディ、ヒューマンの要素が混在した『カルテット』のチーフプロデュース・演出にうってつけの存在です。
◆ドラマの枠を超えた親近感