〈大相撲がはじまると、人生もまた十五番勝負だな、と思う。はたして、いまの私は何勝何敗なのであるか〉〈七十五歳で十五番勝負をするとすれば、五年間が一勝負となる〉──。「人生十五番勝負」という人生観について語った作家の嵐山光三郎氏による「文藝春秋」2月号掲載のエッセイが話題となっている。千秋楽を迎えたら、あなたの人生は勝ち越しか負け越しか。
元会社役員の男性(72)は、これまで九勝五敗で千秋楽を迎えているという。戦時下に中国で生まれ、小中高と苦労なく過ごし、国立大学へ進む。卒業後は銀行へ就職。20代と40代で合併を経験し、左遷と思われる人事にも遭遇した。50代で転職すると、縁あって副社長に抜擢され、65歳の定年は68歳まで伸びた。
「負けに等しい勝ちはあるけど、完敗はない。肝心なのは千秋楽。ここで勝てれば2桁勝利となって、平和に暮らしていけそうです。平凡な十両クラスの人生だったと思うけど、来場所は幕内まで昇進したい(笑い)」
団体職員の男性(68)は、十三日目までを終えたところで六勝七敗。「今のところは、残りの二番は勝って終われそうなので、なんとか八勝七敗で勝ち越せるんじゃないでしょうか」という。
55歳の時に会社都合で早期退職に追い込まれたときには「もう人生を休場したくなった」と思ったというが、その後の転職で土俵に上がる意欲を取り戻した。「75歳まで勤められる今の職場に就職できたので、結果オーライ。前職では75歳まで働くなんて、社長にでもならないと無理でしたから」