放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、当世女子アナ事情を分析。
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「フジテレビは全種目を制覇するつもりか?」というのは某スポーツ紙記者。芸能担当ではなく、運動部記者の弁である。
それは、野球選手のみならず、フィギュアスケート、バスケットボール、そして騎手まで、フジテレビの女性アナウンサーによる、あらゆる種目のアスリートとの結婚が続いた際のこと。思えば、力士と結婚し、“おかみさん”になった先輩や、“プロ野球選手の妻”の先駆け的存在で、監督夫人だったこともある先輩もフジテレビには居た。
他局でも、プロ野球選手夫人になった女性アナウンサーが目立つ一方で、『女性セブン』と『週刊ポスト』が立て続けにスクープしたのは、男性アイドルと女性アナウンサーとの交際報道だ。
かくして、ファンの皆さんから、いきなり嫉妬の対象となり始めたのが“女子アナ”。「女優ならいいけど女子アナはイヤ」という声も多数聞いた。
芸能人として共にプロフェッショナルな女優とは、ある意味“同格”だが、女子アナは、自分たちと同じ一般人に近い存在だ。
なのに局内で男性アイドルに簡単に近づける…というところにモヤモヤした気持ちになるのか? それとも、同性からすると「なんか、うまいことやってる」存在に見えてしまうのだろうか?
いわずもがな、女子アナは昔も今も男性に人気が高い。特に「花の88年入社組」と言われたフジテレビの3人娘=有賀さつき、八木亜希子、河野景子、そして日本テレビの永井美奈子、関谷亜矢子アナらは“アナドル”と呼ばれ、キャンペーンガールのようなことをさせられたり、CDを出したりと、文字通り、アイドルのようなことをさせられていた。もちろん、ルックスやスタイルも抜群で、河野景子は学生時代、『CanCam』の読者モデルとして数回、表紙も飾っている。
アナウンススクールに通い詰めてアナウンサーになるというよりは、「美人女子アナ」として入社当初から“局の顔”になれるタイプが採用されるようになったのである。女子アナが男性週刊誌や写真誌の標的になりだしたのもこの頃からだ。
では、その上の世代はどんなタイプが多かったかというと、そこまで顔やスタイルが重視されたワケでもなく、アナウンス技術の高い、お堅い職人気質な才女が多かったものである。
なので、旧中山道を「きゅうちゅうさんどう」と読んだ(読まされた?)有賀さつきアナや、新人時代、「芸達者」を「芸者達(げいしゃたち)」と連呼した様子が結婚披露宴で流された中井美穂アナのようなエピソードは皆無。
日本テレビのある番組でスタッフが井田由美アナ(80年入社)のNGシーンを探したら「本当に一本もなかった」のは当時局内では有名な話だった。
つまり、昔と今とでは女子アナのタイプが大きく異なっている。そして、時代によって、彼女たちの仕事に対する考え方や志向も大きく異なっているのである。
在京局の女子アナの場合、何千倍もの競争率を勝ち抜いて採用されることは変わっていないのだが、昔の女子アナに比べると、今の女子アナはアッサリしているというか、テレビに出てしゃべることを「一生の仕事」とは考えていないタイプが大半であるように思う。