竹を割ったような物言いが売りの作家、元都知事である。「どうして豊洲だったの?」「地下空間はなんでできちゃったの?」「なぜ莫大な税金がかかったの?」という都民の疑問にズバリ答えてくれると思ったら、なにかおかしい。「果たし合いに出かける侍の気持ちだ!」とハイテンションで登場すると、「アイツが悪い、コイツが悪い」と現都知事や部下のせいにして、ふんぞり返った。侍は侍でも、これじゃあまるで「バカ殿さま」――。
石原慎太郎元都知事(84才)の3月3日の会見はそもそも目的からしてあいまいだった。小池百合子東京都知事(64才)が昨年10月、石原氏にあてた築地市場の豊洲移転に関する質問書に対し、石原氏は「記憶にない」などと事実上のゼロ回答。今月20日の都議会「百条委員会」に参考人招致される予定だ。ジャーナリストの大谷昭宏さんが言う。
「本来は百条委員会の場で豊洲移転の真相究明をすればよかったことです。それなのにわざわざ石原さんは事前に会見を開きました。1つは、情報を隠したり嘘をつけば処罰される可能性がある百条委員会にいきなり出て行くことが怖かったこと。小心者の“肝試し”的な会見でした。もう1つは、子供じみた理由ですが、どうしても小池都知事への怒りが我慢できなかったからでしょう」
たしかに、会見で誰に聞かれるともなく出てくるのは小池氏の悪口ばかり。
「(市場移転を巡る)こうした混迷、迷走に対する責任は今の都知事、小池さんにあると思いますね」
どうやら石原氏が「果たし合い」をした相手は小池氏だったようだが、そんな私怨は都民にしてみればどうでもいい話だ。本丸の豊洲移転について質問が斬り込むと、“逃げるは恥だが役に立つ”と言わんばかりに逃げ回った。
「私は専門家ではありませんから部下に任せていた」
都が800億円超もの負担をすることになった東京ガスとの疑惑の契約について聞かれても、決めぜりふは「私は商売をやったことがありませんから」。