7月2日投開票の東京都議選に合わせ総選挙、そして築地市場の豊洲移転を問う住民投票のトリプル選挙が行われるという観測が浮上している。都議選での「自民党惨敗」予測を受けた官邸が、争点隠しのために総選挙をぶつけ、そこに小池百合子都知事が住民投票のカウンターで返すという構図だ。
首都のトリプル選挙は“役者”も揃っている。豊洲移転が最大の争点になれば、総選挙の最注目ポイントの一つは都議会の百条委員会で証人喚問される石原慎太郎・元都知事の2人の息子たちの当落。長男の石原伸晃・経済再生相(東京8区)と三男の石原宏高氏(東京3区)の選挙区だ。
「(小池氏が率いる)都民ファーストの会のターゲットはあくまで都議選で、トリプル選挙になっても小池氏が新党を旗揚げして国政進出するとは考えにくい。しかし、石原兄弟は別。小池氏は“都議会のドン”こと内田茂・都議とともに都連を仕切ってきた前自民党東京都連会長の伸晃氏に刺客候補を立てる可能性があるし、宏高氏の選挙区では対立候補で民進党保守派の松原仁氏の支援に回るのではないか」(小池氏に近い自民党議員)
小池氏が国会の拉致議連副会長だった時代に松原氏が事務局長代理を務めるなど2人は親交があり、2月1日には松原氏が会見で「小池知事を全面的に支持する」と表明している。小池氏が反石原を鮮明にすれば、選挙に弱い宏高氏ばかりか、過去9回連続当選の伸晃氏も落選危機だ。
自民党側からすれば同日選は、“負けを最小限に留める”という意味合いがあるが、その策によって逆に落選危機に陥る犠牲者も出るわけだ。