東日本大震災、そして福島第一原発(1F)事故から6年近くが過ぎた今も、現地では約6000人の作業員が、数十年単位の計画で進められる廃炉作業に従事している。作業に携わる人たちは、どのような環境で働いているのだろうか? 現場をレポートする。
「本来の廃炉作業」に移行していく1Fでは、これまでとは大きく違う環境も築かれつつある。作業が一段落した正午過ぎ。大型休憩所にその様子が垣間見える。2015年5月から運用が始まった大型休憩所の2階には食堂がある。2016年3月にはコンビニエンスストアもオープンし、連日多くの作業員で賑わっている(ちなみに一番人気の商品はシュークリームだという)。
食堂の昼食メニューは毎日2種類の定食、カレー、麺、丼の5種類で、いずれも380円。調理を担当するのは大熊町にある福島給食センターだ。東京電力が業務委託する同センターは、地元企業を含む3社の出資で設立された。1日最大3000食を調理・提供する従業員約100人のうち、9割が地元出身者(60%が女性)だ。作業員たちが行列をつくる昼時の食堂で笑みを振りまく小名浜出身の廣崎真裕美さん(53)もその一人。
「皆さんに『温かくて美味しかった』って声を掛けてもらえると励みになります」
大震災が起きるまで、廣崎さんは富岡町のファストフード店で働いていた。同町は原発事故によって避難区域となったままだ。そんな状況の中、2015年に給食センターが発足すると聞いて説明会に参加したという。
「震災以降、地元の復興に何かしら協力したいという気持ちが強くなっていましたが、一方で放射線の知識もなかったから漠然とした不安がありました。説明会では、とにかく詳しく説明してくれたので安心して働けています」