普段何気なく使っている目薬だが、95%は間違った注し方をしているという。たとえば、目薬を「複数回注す」をする方もいるだろう。ただし、人の目にたまる水分量である薬30マイクロミリリットルより多く注したとしても、目の外に流れてしまうため、効果は1滴だけの場合と変わらない。量が多いだけなら目薬を無駄にするだけだが、注す頻度が多いと様々なデメリットが出てくる。みどり薬局の石井隆明薬剤師の話。
「目薬は有効成分によって、1日の点眼回数が決まっている。この回数を超えて点眼すると、目薬の成分に耐性ができてしまい、効果が下がることがある。また、種類によっては副作用により、ドライアイや眼圧の上昇を引き起こすこともある。定められた回数を守ることが大切です」
よく見えるようにするための目薬が“毒”になることもあるという。彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長の平松類医師が語る。
「容器内に雑菌が入った目薬を注すと、角膜を傷つけたり、炎症が起こったりするなど、視力が低下する怖れがある。それを防ぐには、目薬を注す前に必ず手を洗い、注すときには瞼やまつ毛と容器が触れないようにしましょう。また、一度でもフタを床に落としてしまった目薬は、雑菌が混ざっている可能性が高いので、使用を避けるべきです」
ここまで紹介したのは処方薬、市販薬ともに共通の注意事項だが、医師が適切な種類を選んでくれる処方薬と異なり、市販薬は膨大な種類のなかから自分で適切なものを選ぶ必要がある。