「あなたのお父さんにはいろいろ世話になったから、恩返しをしたい。選挙の面倒は見るから、東京都知事選に出ないか」
百合子氏側近によると、石原氏が勇二郎氏の恩をあげて知事選出馬を打診してきたのは、猪瀬直樹・元都知事の辞任で出直し選挙となった2014年都知事選の時だったという。この時は断わったが、昨年7月の都知事選に「東京都連はブラックボックス」と批判して出馬し、選挙戦で石原氏からの出馬打診があったエピソードを明かした。
ところが石原氏から飛び出したのは、「あの人は嘘つき」「厚化粧の大年増」発言であり、皮肉なことにこの発言が都知事選圧勝を決定づけた。
そこから、百合子氏は豊洲市場問題で石原氏の責任追及に動き、百条委員会での証人喚問が決まった石原氏も「知事に法的手続きを取る」と泥仕合に発展している。
果たして出馬打診の真相はどうだったのか。2人を最も知る浜渦氏が決定的証言をしている。
「実を言うと、舛添(要一)さんが都知事になる前、石原さんは小池さんに『やる気ないか』と尋ねたというようなことも言っていたね」(週刊朝日2016年10月28日号)
出馬打診はあったというのである。だとすれば、石原氏の勇二郎氏への「恩返し」のはずが逆に仇となってしまった。
その浜渦氏も百合子氏の豊洲問題追及の流れでキーマンとして都議会の百条委員会で“被告席”に立たされ、個人的にも、2人は都知事選の応援を“頼まれた”“頼んでいない”の論争を展開している。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号