昨今、動物園では来園者サービスの一環として、エサの時間を「もぐもぐタイム」などと名付けてスケジュール表を入り口付近に明示し、来園者に「食事シーン」を見てもらう機会を設けるケースも増えている。
実際、エサの時間が近づくと、動物たちはそわそわしだし、飼育員さんが柵内に登場すると、いっせいに飼育員さんをめがけて集まる。その姿は、なんともかわいいものだ。
だが実際のエサの時間は、あっという間に終わってしまうのだ……。パンダがもさもさとタケを食べている口元、コツメカワウソが飼育員さんから魚を受け取る瞬間の顔、小さく切られたリンゴを持つレッサーパンダのかわいい手……あぁ! もっと見たい! もっとじっくり、もっと近くで、よく見たい!!! という気持ちになるのが、常なのだ。
こうした「動物が何かを食べる姿」のかわいさにすっかりとりこになってしまった、男性がいる。動物写真家の松原卓二氏(52)だ。かわいい動物の口元を「ω」に見立てて、口元の魅力を全開に伝えた『動物ω(オメガ)図鑑』や、モフモフとした動物たちを愛情たっぷりにとらえた『モフモフ家族』、鳥の羽の美しさをとことんまで追いかけた『美しき羽毛』などを発表。そして、発売されたばかりの最新刊『動物mg(モグ)図鑑』では、まさに上述の「動物たちの食事シーン」を追いかけている。
『動物mg図鑑』に掲載されている、動物たちのこれでもかというかわいいモグモグ姿に、癒やされることといったら……。食べているときの動物たちの表情は「幸せ~」という声が聞こえそうなほど、良い瞬間を切り取ったものばかりだ。ご機嫌な表情を見ていると、「よく食べることはよく生きること」という気持ちにもなってくる。この春休みは、動物園や水族館に足を運んでみてはいかがだろうか。
撮影■松原卓二(『動物mg図鑑』より)