豊洲市場移転の土地取得交渉にあたった浜渦武生・元東京都副知事。国有地払い下げ問題に絡む「森友学園」問題で、理事長夫妻の陳情を受けていた鴻池祥肇・元防災相。そして7月の都知事選で日本の政治の常識を一変させるかもしれない小池百合子・都知事。この3人を結びつけている人物こそ小池氏の亡父・勇二郎氏だ。
大正11年生まれの勇二郎氏は政治好きで、青年作家の石原慎太郎氏が1968年の参院選全国区に出馬すると、石原氏の政治団体「日本の新しい世代の会」の関西地区の選挙責任者となり、過去最高の301万票で当選させた。
そして翌1969年の総選挙に勇二郎氏は自ら旧兵庫2区から出馬する。だが、自民党の公認は得られず、「新しい世代の会」を看板に無所属での立候補だった。この勇二郎氏の「最初で最後の選挙」を手伝ったのが、鴻池氏と浜渦氏だった。
もっとも、今でこそ豊洲移転問題などで敵対関係にある石原―浜渦氏と百合子氏だが、「タカ派政治家」という勇二郎氏からの政治的系譜の面では鴻池氏を含めて同じ流れにある。
その1つが1997年に結成された保守系団体の日本会議だ。勇二郎氏は当時カイロ在住で直接関わっていないものの、石原氏は日本会議の代表委員であり、娘の百合子氏は国会議員時代に日本会議国会議員懇談会の副会長を務め、鴻池氏も同懇談会メンバーだ。
その鴻池氏はいまや森友学園疑惑の渦中にある。籠池泰典・前理事長夫妻から国有地売却で便宜を図ってもらうために陳情を受けたとして名前が挙がり、会見で“賄賂”らしき封筒を突き返したことを説明した。