3月19日に春のセンバツこと、第89回選抜高校野球大会が開幕する。大会初日の第2試合で登場するのが、昨秋の神宮大会を制した優勝候補の一角、履正社(大阪)だ。プロのスカウトも注目する履正社の4番バッターについて、新著『永遠のPL学園 六〇年目のゲームセット』を上梓した柳川悠二氏(ノンフィクションライター)がレポートする。
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開幕が目前に迫ったセンバツの優勝候補・履正社には、早稲田実業(東京)の清宮幸太郎と並ぶ左の大砲、安田尚憲(ひさのり)がいる。
全国屈指の激戦区・大阪で、大阪桐蔭と2強をなす履正社にあって、安田は1年生の夏からベンチ入りし、昨年夏には甲子園の土を踏んだ(結果はベスト16、国体は優勝)。さらに最上級生となってから、チームは昨秋の近畿大会を制し、秋の日本一を決する神宮大会では、決勝で早実と対決。安田はライトスタンドに本塁打を叩き込んで勝利に貢献した。
188センチの長身でスケール感は先輩のT-岡田(現オリックス)をしのぎ、ボールを手元まで引きつけ、身体の軸を回転させて遠くにはじき返す。大柄な割に、やはり同校の先輩である山田哲人(現ヤクルト)のような器用さも併せ持つ。
彼の本塁打を初めて目にしたのは、昨春の大阪私学大会だった。相手はPL学園で、場所は履正社のグラウンドだった。