そろそろ桜花賞・皐月賞出走の顔ぶれが揃いつつある。目立つのはやはりリーディング上位常連の有力厩舎管理馬だ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、厩舎と馬の状態について解説する。
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馬券検討では、ファンのみなさんは馬の状態を凝視しますね。鞍上のジョッキーが「乗れているかどうか」も大きな材料でしょう。
そして厩舎。「厩舎で馬を選ぶ」という方策は、あながち間違ってはいないと思います。ありていに言って、勝てる厩舎とそうでない厩舎の二極化が進んでいる。今後も格差は広がると思います。
勝ち鞍のリーディングを見ていると、上位に君臨している厩舎はここ数年同じような顔ぶれ。1年や2年では、その顔ぶれは簡単には入れ替わらない。なぜそうなっていくのか。わかりやすい理由と、わかりにくい理由があります。
当然の流れとして、大手馬主さんはもちろん、競走馬を多く供給するクラブは会員数をふやしたいので、結果を出した厩舎に押しこみたい。いい血統の馬が集まれば、その厩舎はさらに勝つようになりますね。
かつて勝ち星ばかりにこだわらない太っ腹な馬主さんもいましたが、いまは馬主というだけではステイタスではない。勝ちたいというオーナーが主流です。
ポイントは厩舎の力ですが、現在はチームとしてきちんと機能しているかどうか。ファンからは見えにくい事情です。厩舎には調教師がいて、厩務員がいて、調教助手がいます。キーは厩務員です。