快進撃を続ける侍ジャパン、最も評価が高いのは誰か。MLBアナリストの古内義明氏がレポートする。
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ワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕し、日本中を熱狂させている。テレビ視聴率は20%を超え、ドル箱カードの連続。開幕から6連勝と破竹の勢いで、アメリカでの準決勝に4大会連続で進出を決めた。主催するMLB機構も笑いが止まらないだろう。
WBC開催の表向きの理由は、野球の国際化だが、メジャーの本音は、「選手の見本市」である。これまで、WBCからの「黄金ルート」でメジャー移籍した顔ぶれは過去、松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太と、日本のエースばかりだ。
今大会もメジャーのスカウトが東京ドームから熱視線を送ったが、これまでのような高揚感はあまりない。最大の注目だった日本ハムの大谷翔平が不参加を表明し、トーンダウンは否めないからだ。もっとも、「大谷ロス」があっても、ポスティングシステムや海外フリーエージェントの際にチームが投資するだけの価値のある選手がいるかどうか、確認に余念はなかった。
「世界一奪還」を掲げる小久保ジャパンの雌雄を決する決戦前に、数々の名選手を発掘してきた旧知のメジャーのスカウトたちが侍戦士をどう分析しているか、彼らの声をもとに紹介したい。
まずは野手。再三に渡って日本のピンチを救っている広島の菊池涼介(26歳)。セ・リーグ二塁手部門でゴールデングラブ賞を4年連続受賞している職人は、MLB公式サイトも「ファンタスティック・プレー!」と取り上げられている。天然芝のマツダスタジアムでプレーする菊池は確かに守備のスペシャリストだが、先輩内野手の苦難が影を落としている。
過去、松井稼頭央、中島裕之、西岡剛という日本代表の内野手が海を渡ったが、成功と言うには程遠かった。やはりまだまだ内野手に対するアレルギーは抜け切れていない。「天然芝のバウンドに対応できず、さらに2塁ベース上のクロスプレーに難あり」というレッテルを払しょくするのは難しそうだ。さらに、2年連続トリプルスリーという看板を引っ下げるヤクルトの山田哲人(24歳)も、「そこそこ打てるかもしれないが、守るところがないだろう」と手厳しい。
日本の左右の大砲の日本ハムの中田翔(27歳)とDeNAの筒香嘉智(25歳)はどうだろうか。侍ジャパン史上初となる3試合連続本塁打の中田だが、「打率の低さが気になる」「あの大振りでメジャーの動くボールに対応できるか」と、大砲の多い1塁手での競争に打ち勝てるかについては、ベテラン・スカウトは疑問符をつけていた。それに比べて、筒香は、「チーム打撃ができる」「本塁打より打点を稼げるタイプ」と、外野手として一定の評価があった。メジャー志向という筒香には、時が来れば、挙手する球団がありそうだ。