左派親北政権の誕生が現実味を帯びる韓国で、再び「核武装論」が勢いを増している。反米・対北融和派の韓国最大野党「共に民主党」の前代表・文在寅(ムンジェイン)氏が新たな韓国大統領になれば、「(北の同胞は)同じ民族としてよく頑張っている」として、大胆に北朝鮮に接近するのは間違いない。
そして文在寅氏と金正恩委員長が手を握り、平和的な南北統一──「統一コリア」への流れができる。その時、韓国は核を放棄するのか。答えは否だ。拓殖大学大学院特任教授の武貞秀士氏がレポートする。
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国際社会にはひた隠しにしてきたが、核保有は紛れもなく韓国の悲願である。これまでの経緯を見れば、韓国人の胸の内は明らかだ。
1969年に就任した米国のニクソン大統領は、トランプ大統領と同様に東アジアからの撤退方針を打ち出した。突然の“ニクソン・ドクトリン”に震えた朴槿恵氏の父・朴正熙大統領は自主防衛の道を探り、1972年に核開発の検討を指示。
米国は不穏な動きを見せる韓国に圧力をかけ、1975年に核拡散防止条約(NPT)を批准させたが、朴正熙氏の暗殺後、後継の全斗煥大統領も秘密裏に核開発を推進。1982年にプルトニウムを抽出している。この情報を得たレーガン大統領は訪韓時、全大統領にプルトニウム抽出の中止を求めた。
また、2004年のIAEA(国際原子力機関)調査では、韓国が2000年にウラン濃縮実験を進めていたことが発覚。2017年までIAEAの監視下に置かれることとなった。当時、金泳三元大統領は毎日新聞の取材に「時の大統領が(核関連)実験の事実を知らないはずがない」と発言している。