ライフ

6連勝の小久保監督に「お花見幹事の心得」を学ぶ

お花見幹事の仕事(写真:アフロ)

 侍ジャパンの小久保裕紀監督の株が急上昇だ。大人力コラムニストの石原壮一郎氏はそこに「お花見幹事」の仕事力を学ぶ。

 * * *
 予想以上の盛り上がりだし、予想以上の快進撃です。第4回ワールド・ベースボール・クラッシックで、侍ジャパンは1次、2次ラウンドを負けなしの6連勝で通過。米国時間21日(日本時間22日午前10時)に、アメリカ・ロスアンゼルスで準決勝に挑みます。

 壮行試合で負け越してしまったこともあり、大会前の小久保監督の評価はさんざんでした。しかし、今は絶賛の嵐が巻き起こっています。手の平を返すとはまさにこのこと。まあ、いわゆる「野球通」のみなさんは批判や文句が大好物なので、侍ジャパンの優勝を願いつつも、もし負けたらあれこれ言ってやろうと手ぐすね引いていることでしょう。

 WBCの決勝ラウンドも楽しみですが、そろそろシーズンを迎えるお花見も楽しみです。侍ジャパンの監督もお花見の幹事も、メンバーの気持ちをひとつにまとめて、グイグイ引っ張っていくのが役割という点では同じ。今をときめく小久保監督の采配や生き方から、お花見の幹事の心得を学んでみましょう。

 野球の試合もお花見も、筋書きのないドラマです。どの回はどの投手で、どこで誰を代打に出してなんて計画したところで、ぜんぜん思い通りにはいきません。小久保監督の采配は、選手の起用方法に一貫性がない、思い付きでやっているように見えるという声もあります。しかし、今までの試合ではそれがいい結果を生みました。

 お花見も、ビールやおつまみが途中で足りなくなったり、人数が集まり過ぎてスペースが手狭になったりなど、不測の事態の連続です。「ビールはあるだけで我慢してほかの酒を飲め」「人数に合わせて場所取りしてるんだから、急に来るな」などと、あらかじめ決めたとおりに進めようとしたら、たちまちギクシャクした雰囲気になるでしょう。

 キューバ戦で打撃好調の小林を引っ込めて内川を代打に送ったように、イスラエル戦で千賀をいきなり先発で起用したように、お花見という戦いで見事な勝利を収めるために必要なのは、臨機応変の対処です。話の輪にいまいち入り込めずにいる年長者を呼んで、「ここは君しかいない」とおだてつつ、ビールを買いに走ってもらいましょう。本人もきっと「ここは勝負どころだな」と意気に感じて、いい働きをしてくれるはずです。

 また小久保監督は、2月に行なわれた宮崎での強化合宿で「全員が納得することはあり得ない。そういう中で最後の勝利だけが、みんなを救える」と語ったとか。お花見もしかり。誰もが話したい相手とじっくり話せて、ほどよく酔っ払い、桜もじっくり満喫できるなんてことはあり得ません。よく知らない相手と無理に話を合わせたり、飲み過ぎたヤツにからまれたり、肝心の桜が見づらい位置に座る羽目になったりという事態が付きものです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン