今やメガネ市場5087億円(矢野経済研究所調べ・2016年)のうち、3531億円を占める「老眼鏡」市場。老眼とつきあっていくなかで“強い味方”となるものだが、現在、主流となっているのは「遠近両用メガネ」だ。
累進屈折力レンズで作られる「遠近両用メガネ」は、レンズの位置によって屈折力(度数)が変化。レンズの上部が遠用部、下部が近用部となっており、中間部分から緩やかに度数が変わっていく。複数の距離を1つのメガネで見えるようにしたものである。
また現在は「遠近両用」だけではなく、「中近両用」「近近両用」といったさまざまな距離に対応できる老眼鏡も普及し始めている。
これだけ細分化されていると、自分に合う老眼鏡を見つけ出すのは難しいと感じてしまう読者も多いだろう。ここからは用途や悩み別に、どの老眼鏡を選ぶべきかを解説する。
【ケース1】主に室内で手元を見る際に使用。読書からケータイ・スマホ操作まで、様々なシチュエーションを網羅したい
手元を見るだけなら、一定の距離にだけピンとが合う単焦点レンズの「リーディンググラス」だけで事足りると考えられがちだが、リーディンググラスは40cmの距離でしかピントが合わないことが多い。そのため、別の作業をする際には無理が生じる。
眼鏡レンズ専門店「れんず屋」の古屋和義代表がいう。
「スマホは肘を曲げて操作するので、目との距離は25~30cmとなり、リーディンググラスだとピントが合わず、画面が見えづらい。
スマホとの距離に合わせて、もうひとつ単焦点のメガネを作ることもできますが負担は大きい。この場合、25cmと40cmなど近くの2か所に焦点が合わせられる累進屈折力レンズの『近近両用』を推します」
【ケース2】会社での使用がメイン。パソコン操作が用途の中心だが、会議やプレゼンでプロジェクターを見る際にも対応したい
「ケース1同様、単焦点のメガネでは2つの距離にはピントを合わせられない。パソコンに対応する50cmほどの近距離と、少し離れた2~3mの中距離でピントが合う『中近両用』がよいでしょう。かけっぱなしで室内全体を確認できるため、移動などでいちいちメガネを外す煩わしさが少なくなります」(同前)