有料動画配信サービスを通じ、無修正動画を配信した罪で逮捕される事例が続いている。なかでも3月1日に逮捕された容疑者には、1月末に突然、引退宣言をした人気女優が含まれていたため、社会に衝撃を与えた。制作や販売に関わる裏方だけでなく、出演者にも司直の手が伸びたことに、業界関係者の誰もが動揺している。ライターの森鷹久氏が、なぜ、今のように違法な無修正動画制作が広まったのかについてリポートする。
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いわゆる「裏AV(アダルトビデオ)」関係者の相次ぐ逮捕に、AV界が揺れている──。
現役のAV男優であるA氏は、自身も捜査関係者からの調べを最近、受けたこと、さらには逮捕される可能性があると告白した上で、AV界の現状を次のように説明する。
「モザイク有りの“表”のAVの製作や販売だけでは、収益を出す事が難しくなった。新作AVはネットに違法アップロードされているため、ユーザーが作品を買ってくれません。裏モノも多数違法にアップされていますが、こちらは金を出して買うユーザーも一定数存在し、制作費も抑えられる。裏モノに手を出す事はやむなし、という制作会社が増えつつあるのです」
制作会社が”禁断の実”であった裏AV制作に乗り出している事情を語るA氏は、かつて成人向け雑誌の編集者だった。男優となったきっかけは、雑誌の制作費を抑えるために、プロの男優の代わりに自分自身が絡みから撮影までを行うようになったことだった。そして間もなく、自身が所属する出版社の関係会社が製作するアダルトビデオにも出演するようになったという経歴を告白してくれた。
「エロ本屋もエロビデオ屋もとにかく金がない。金がなくても客の目をひこうと様々な手段をとっているうちに、やることがどんどんエスカレートしていく。裏モノAVの製作や販売のリスクは当然わかっているが、もうこれしか金になる方法がないわけです」
2017年3月、無修正のわいせつ動画を撮影し、海外のサイトを通じて配信する手助けを行ったなどとして逮捕されたのは、アダルト作品をたまにしか見ない人でも名前を聞いたことがある人気AV女優と男優だった。これまで、制作側や販売側が罪に問われた事はあっても、出演者が逮捕された事例はほとんどない。現役のAV制作会社幹部は、捜査当局がついに本気になったのだと懸念を示す。