筒井:あと、長篇はもう書かないけど、役者はやりたいですね。ホリプロ所属なんだけど、たまに回ってくるのはギャングの親玉とか、文壇の重鎮とか、そんな役ばっかりでつまらないんだ。だから、『銀齢の果て』(国が老人に殺し合いをさせる筒井氏の小説)が映画化されたら、私が主役をやる(笑い)。それから、『世界はゴ冗談』という短篇集に入っている「ペニスに命中」という短篇を映画化してほしい。これは認知症の老人が交番で銃を盗んでぶっ放しまくるといったドタバタを描いた作品で、これの主役ならできる。

長尾:まだまだお元気でいらっしゃいますからね。

筒井:今日、在宅医療のことを伺うまでは、「安楽死が法制化されないならば」と、自殺にも、自殺幇助にも見えなくて、生命保険が下りる死に方を一つだけ考えていたんです。なかなか見事な方法ですよ。

長尾:教えてください。

筒井:みんな真似しちゃうからやっぱり言いません(笑い)。でも、在宅医がいれば、その必要もなさそうですね。

長尾:最後に、現実的な選択肢として、死ぬ場所は病院か施設か家か、3つしかありません。どこを希望されますか?

筒井:病院だと家族もかわいそうだし、家でしょうね。もう、医者をあげて、芸者をあげて、酒を飲んで、タバコ吸って。そんなふうに死にたいですね。

長尾:ラテン系の作家らしく、どんちゃん騒ぎしながらね。お看取りに参ります。

筒井:長尾先生がお元気なら、35年後に連絡するかも知れません。

※週刊ポスト2017年3月24・31日号

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