日本で「死に方」の議論が過熱している。これまでタブー視されてきた「安楽死」の“解禁論”も叫ばれ始めた。作家・筒井康隆氏(82)が、月刊誌『SAPIO』(小学館刊)に寄稿した論考「日本でも早く安楽死法を通してもらうしかない」(2017年2月号)も大きな反響を呼んだ。この論考に注目した、日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏医師(58)と、終末期医療と尊厳死、安楽死を巡る二人の対談が実現した。
長尾:しかし、世の80代と比べると、筒井さんは本当にお元気ですよね。何か健康法があるんですか?
筒井:昔は、「スポーツは何をやってました?」って聞かれたら、パチンコって答えていました。
長尾:脳と手の運動(笑い)。
筒井:80歳の頃に足首を痛めて、医者に「筋肉量が減っているから筋トレをしろ」といわれて、筋トレの方法を教えてもらったんですが、つまらないからやらないの。それで痛いの我慢していたら治っちゃった。
長尾:治ったんですか。
筒井:うん。トレーニングって退屈でしょう。むしろ、身体に一番悪いのはストレスだと思うんですよ。先日、東大で講演したんですが、東大のキャンパスは全面禁煙で、どこかに喫煙所が1か所あるらしいんだけど、講演場所から遠い。だから、しょうがないので、舞台の上で吸ったんだよ。吸わないと死にますって。みんな大笑いで、誰か止めるかなと思ったら、誰も止めない。
長尾:筒井先生を止められる人はいませんね。