いまでは韓国の日常的光景となった「反日」や「法より民意という社会」は昔からあったわけではない。約40年間、韓国をウオッチし続けてきた産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が、韓国がおかしくなった理由を探る。
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日本では近年、「韓国はおかしい」という声をよく聞く。「もう、付き合いきれない」といって国交断絶論など極論を語る向きもある。
たしかに日本いやがらせの慰安婦像を内外で建てまくっていることや、泥棒が日本から盗んでいった仏像を日本に返さなくてもいいという判決が出るなど、日本人の目からすると“異様”としかいいようがない。
昨秋以来、韓国を揺るがせている朴槿恵大統領弾劾問題も、なぜ法的に粛々とやらず、100万人(公称)もの群衆が街頭に出て騒がなければならないのか、日本人は首を傾げる。日本がらみの反日現象だって、昔より今の方が目立つのだ。
慰安婦問題や領土問題はその典型だが、そのほか、たとえば朝の陽光をかたどった「旭日」デザインへのいいがかりなどは最近の反日症候群(妄想)だし、日本の韓国(朝鮮半島)支配をナチスの蛮行になぞらえての「日本はドイツに学べ」論も昔はなかったことだ。
日本統治時代の経験者が多数、生存していたころは、日本イコール・ナチスなどという実感のない発想は出ようがなかった。
この変化はいつからかというと、やはり民主化以降といわざるをえない。時代的には1990年代以降だが、韓国は民主化によって政治も社会も民心もすっかり変わってしまったのだ。あくまで日本人の目から見てだが、それ以来、韓国は「国のかたち」をはじめ、さまざまな面でおかしくなった。
韓国の民主化とは日本の戦後に似ている。それまでの過去を悪として否定し、善悪の価値観をひっくり返したのだ。したがってある種の革命である。
たとえば慰安婦問題。もともと慰安婦は韓国国内にも存在していたが、問題は下半身にかかわることで、それまで表向き話題にできるテーマではなかった。「口にするのも恥ずかしい」ことだったからだ。
それが表面化した背景には、いわゆる民主化で「表現の自由」としてある種の性的解放が始まったことと、男女平等・女性の自己主張拡大がある。民主化で性的タブーが崩れたことが、慰安婦問題浮上の大きなきっかけとなったのだ。