ここしばらくメディアだけでなく、国会をも巻き込んだ大騒動となっている森友学園事件で不可解なのは、捜査当局が完全に沈黙していることだ。
事件性は十分ある。籠池泰典理事長夫妻が鴻池参院議員に“コンニャク封筒”を渡そうとした問題では、すでに「贈賄申し込み」容疑で大阪地検に告発状が提出されており、小学校建設工事で出た産廃を「仮置き」として敷地内に埋めさせたのは廃棄物処理法違反の疑いが指摘されている。
なにより森友側が大阪府と国交省、大阪空港運営会社に金額が違う3つの工事契約書を提出して多額の補助金を得ていたのは、私文書偽造と補助金の不正受給そのものだろう。
「実は、大阪地検特捜部はすでに強制捜査の準備を整えている」
そう明かすのは捜査関係者だ。
「大阪の特捜部は村木冤罪事件(※注)で大批判を浴びて以来、捜査で何の実績もあげていない。そのため森友問題の発覚直後から、汚名返上のチャンスと密かに内偵に乗り出し、3月に入ると捜査拡大に備えて西日本の各地検に応援検事の派遣を打診している。最大のネックは最高検。検察首脳部は“こんなのは事件と呼べない”と捜査着手にゴーサインを出すムードではなかった」
【※注/2009年に郵便不正事件で厚労省の村木厚子局長(当時)が逮捕されたが、取り調べを行なった大阪地検の証拠捏造などが発覚し、無罪判決が出た】
ところが、ここに来て状況が大きく変わってきた。当初、官邸・与党は国有地売却手続きに「問題なし」という姿勢だったが、籠池氏が政権中枢との関係について真偽不明の“爆弾発言”を続けたことから、自民党は国会証人喚問に引っ張り出して“籠池つぶし”に走らざるを得なくなった。