ハンバーガーの出店ラッシュが続いている。今月24日には、「史上もっとも影響力のあるハンバーガー」がアメリカから上陸した。その「秘密」はなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。
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ハンバーガーの進化が止まらない。3月24日、「史上もっとも影響のあるハンバーガー」としてに表参道に上陸したロサンゼルス生まれの「UMAMIバーガー」はその象徴的存在だ。その名の通り、”第五の味覚”であるうま味をふんだんに盛り込んでいる。
フラッグシップ商品の「UMAMIバーガー」には、もちろん牛肉(うま味成分はイノシン酸とグルタミン酸)、ローストトマト(グルタミン酸、グアニル酸)、しいたけ(グアニル酸)というだけでもうま味十分なのだが、そこに薄く焼いたパルメザンチーズ(グルタミン酸+焼くことで生じるメイラード反応の味わい)、キャラメルオニオン(玉ねぎのグルタミン酸+カラメル化の香ばしさ)と、これでもかというほどうま味を重ねている。あまり知られていないが、トマトもローストすることでグアニル酸や一部アミノ酸が増え、うま味が極めて強くなる。
特徴的なのは「うま味の相乗効果」を狙って演出していることだ。そもそもハンバーガーは主材料に、「うまみ」そのものとも言える素材が使われていた。ところが従来はそのことをわざわざ謳わず、他の特徴を前面に打ち出していた。そしてときどき、卵、アボカド、ベーコンなど違う味わいの素材を足してきた。
だが、この”新顔”は「うまさ」の中身を整理した。一般にイノシン酸はかつお節、グルタミン酸は昆布、グアニル酸はきのこ類のうまみ成分とされるが、これらは同時に使うことで相乗効果が得られる。例えば昆布のグルタミン酸ナトリウムと、かつお節のイノシン酸をかけ合わせると、うま味は7~8倍に。グルタミン酸ナトリウムに干ししいたけのグアニル酸を加えるとうま味は数十倍にもなるという。UMAMIバーガーは明確に「うま味」の狙いを定めてきたのだ。