「老眼」と並んで中高年の楽しい生活の大きな障壁となるのが「難聴」だ。自覚症状が少ない耳のトラブルは、治療や対策が後手に回りやすい。
また、難聴を改善するために耳鼻科を受診しようにも、眼科や歯科に比べると受診機会が少ないだけに「かかりつけの耳鼻科」がある人は多くないだろう。耳鼻咽喉科専門病院・日本橋大河原クリニックの大河原大次院長が「よい耳鼻科の見分け方」を指摘する。
「一口に『耳鼻咽喉科(耳鼻科)』と言っても、耳、鼻、喉、気管など診察範囲が広いため、医師はそれぞれ得意分野を持っている。『補聴器相談医』の資格を持つ耳鼻科を受診しましょう。
加えて5年以上の臨床医経験を持っていないと取得できない『日本耳鼻咽喉科学会専門医』は医師が受験しても3人に1人が落ちる難しい資格で、耳に関する深い知識を持っている証明になり、信頼できます。その認定証は待合室などに掲げられていることが多い」
耳鼻科を受診すると問診後、各種の聴力検査を行なう。よく知られているのは、ヘッドホンを装着して「ビー」「プー」などの機械音が聞こえたら手元のボタンを押す「気導検査」だ。
「音の高さや音量を変えて、聞こえる範囲を調べています。簡単に思えますが、自覚症状がない難聴を発見する場合には非常に有効な判別断手段です」(済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科診療科長・新田清一氏)
その他に、伝音難聴か感音難聴かを絞り込む「骨導検査」や、耳の中を顕微鏡で覗いて炎症や鼓膜の状態を確認する「耳鏡検査」、耳の中に空気圧をかけて鼓膜の凹みなどを調べる「内耳機能検査」などを行なう。
「中高年の患者で、『この年になって、生まれて初めて耳鼻科を受診した』という方も少なくない。難聴の早期発見のために、年に一度は受診することをお勧めします」(前出・大河原院長)