小池百合子都知事は、「都民ファースト」のかけ声のもと、有権者のあいだで話題になりそうな施策を次々と打ち出している。そのうちのひとつ「教育無償化」について、経営コンサルタントの大前研一氏は異論があるようだ。
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東京都の小池百合子知事は、都内外の私立高校に通う都内在住の生徒の授業料を、世帯年収760万円未満の家庭を対象に実質無償化する方針だ。国の制度に加えて都独自の特別奨学金を拡充し、都内の私立高校の平均授業料に相当する年44万2000円を支給するもので、対象となるのは私立高校に通う都内在住の生徒16万7000人の3割にあたる5万1000人。この新制度による上乗せ分として2017年度予算案に事務費を含め80億円を盛り込むという。
だが、これはあまりにもバカげている。なぜなら、国や地方自治体がやらねばならないのは、中学校までの「義務教育」について公平を担保するための経済的援助に限られると思うからだ。高校、ましてや私立高校は個人の選択の結果であり、それに対して都民の税金から特別奨学金を拠出して無償化するというのは、どう考えてもおかしい。
しかも、神奈川県・埼玉県・千葉県から都内の私立高校に通っている生徒に都の特別奨学金は支給されないので、投票資格のある人だけに補助金をバラ撒こう、という露骨さが垣間見える。近隣県も黙っていないだろうから、今後は周辺自治体とのサービス合戦になりかねない。優位性が揺らぐ都立高校への影響も避けられないだろう。
また、世帯年収760万円以上でも、子供2人が私立高校に通っていたらどうなるのか? その場合、世帯年収1520万円未満としなければ理屈に合わないのではないか? そういう矛盾だらけの政策である。
さらに、もし公的なお金(都民の税金)を小池知事の私的な目的(7月の東京都議会議員選挙対策など)のために使うのであれば、犯罪に等しいと思う。