スポーツ

角居勝彦調教師 馬を仕上げる際に大事な厩舎のチームワーク

角居調教師が厩舎のチームワークについて語る

 競走馬を究極まで仕上げるときに大事なのは、厩舎のチームワークだ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、厩舎のチームワークはどのようにして培われるのかについて解説する。

 * * *
 ずっと時代を担ってきた腕利き厩務員が定年を迎えて厩舎を徐々に去っていっても、ほとんどの厩舎はこれまでのやり方を変えませんでした。

 私が調教助手として師事した松田国英先生も、ある時期いた厩舎では腕利きの調教助手がいて、あまり乗せてもらえなかったそうです。調教師試験に合格してからは、1年間森秀行厩舎で勉強し、開業後チームとしての厩舎運営を始めました。私も3年間、チームの一員としてみっちりと鍛えられました。

 1人の腕利きよりも、5人の平均的な厩務員。調教師が思い切ったリーダーシップを発揮し、誰がどの馬を担当しても勝負に持ち込めるように仕上げる。これが厩舎のチーム力です。厩務員もできるだけ馬に乗って調教もこなす持ち乗り厩務員(関東では調教厩務員)になってもらう。一応、担当馬は決めるけれど、遠征などもあるので、他の馬にも目を配る。かつては、自分の担当外の馬に関しては口を挟まないというのが不文律でした。

 わたしが開業したころ、チームで馬を作っていた厩舎は数えるほど。しかしこの20年くらいで厩舎のチーム化が劇的に進みました。

 チーム力を高める具体的方策として、進上金の厩舎プールがあります。

 厩務員の進上金は賞金の5%。給料とは別の、いわばボーナスです。パーセンテージは騎手と同じ。いかに厩務員の仕事が重要なのかわかります。角居厩舎ではこれを担当の総取りではなく3:2に分け、2%を厩舎にプールしておく。厩務員の頭数で割って配分します。すると「勝った馬は、オレが作った」という傲岸な意識は薄まり、厩舎全体で勝ち鞍を稼ぐチーム気質が生まれてきます。進上金の5%全部をプールする厩舎もあるようです。思い切ったチーム力強化策ですね。

関連キーワード

トピックス

田中圭と15歳年下の永野芽郁が“手つなぎ&お泊まり”報道がSNSで大きな話題に
《不倫報道・2人の距離感》永野芽郁、田中圭は「寝癖がヒドい」…語っていた意味深長な“毎朝のやりとり” 初共演時の親密さに再び注目集まる
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン