WBCで快進撃を見せた今でこそ賞賛を浴びているが、小久保裕紀監督(45)は常にバッシングの中で苦しい闘いを強いられていた。「経験不足」「采配ミス連発」──批判の矢面に立つ孤独な彼を支えていたのは、ひとりの女性の存在だった。地元・博多では、小久保はその女性を「新しい奥さん」と紹介しているという。
◆「新しい奥さんです」
平日の昼間ながら平均視聴率は20%超、国民が熱狂したWBC準決勝・アメリカ戦の3日後のことだった。大健闘の侍ジャパンを率いた小久保監督の姿は福岡にあった。
3月25日の夕方、福岡市内にある魚料理が評判の居酒屋の前に1台のタクシーが停まった。まず車から降りたのは、ロングヘアーをなびかせた30代とおぼしき女性。女優・土屋太鳳似の美女で、ライトブルーのブラウスに春物のコートを羽織り、スカートにピンヒールを合わせ颯爽とした雰囲気だ。
彼女に続いて小久保が支払いを終えて姿を見せた。ルーズなパンツとダウンベストにニット帽というラフなスタイル。WBCの重圧から解放されたためか、リラックスした雰囲気が伝わってくる。
車外で待っていた女性に小久保が親しげに声をかけると、女性はコクリとうなずく。そして女性は小久保を先に行かせ、2、3歩下がって続く。その様子は、長年連れ添った夫婦のようだ。そのまま、2人は店内へと入っていった。
店内には多くのプロ野球選手のサインが並んでいる。ソフトバンク選手御用達の店のようだ。居合わせた客が語る。
「小久保さんがふらりと現われたので驚きました。2人は店の奥にある、人目につきにくい席に座りました。小久保さんは常連らしく、店員と親しく話していました。女性のことを『新しい奥さんです』と紹介していた」
この女性こそ、いま小久保の私生活を支えているAさんだ。
この日、2人は店オススメの魚料理に舌鼓を打ち、およそ3時間滞在した。小久保の表情はWBC中とは違って笑顔にあふれていた。