「10年程前に関係を絶った」──森友学園の籠池泰典理事長との絶縁をそう説明した稲田朋美・防衛相。
地元・福井の特産品のメガネと網タイツをトレードマークにするなど「自ら広告塔となって地域産業を大切にする」のが売りだが、その地元の“学園理事長”を巡る騒動でも、「裏切られた」との声があがっていた。稲田氏の連合後援会の元最高幹部が振り返る。
「われわれは初当選の時から稲田さんをずっと応援してきた。ある時、後援会の主だった幹部たちが集められ、『選挙のためにとにかく資金を集めたい』とお願いされた。
1人が、『稲田さんね、カネか、票か、どっちが欲しいのか? そんなんじゃカネが集まっても票は集まらんぞい』と言ったんです。稲田さんは『貧乏弁護士なんです』と言っていたけど、大臣になって資産公開を見たら何億円もの資産を持っている。『こりゃ、やられたわい』と言いながら、それでも我々は支持しておったんですよ」
その後援会から幹部が次々に離れていったのは2013年の参院選がきっかけだった。福井選挙区では自民党から、稲田氏の後援会「稲朋会」会長で福井工業大学などを経営する学校法人・金井学園の金井兼・理事長と元財務官僚の滝波宏文氏らが出馬表明して公認を争い、党員投票となった。
「金井さんの出馬は稲田さんの後見人の山崎正昭先生(前参院議長)が推したもので、県連会長だった稲田さんも当初は『頑張って』と言っていた。後援会挙げて選挙準備をしたが、途中から稲田さんに連絡が取れなくなった。ちゃんと説明すりゃいいのに電話も出ず、挙げ句に『応援はできない』と一方的に言ったんです。
ハシゴを外された金井さんは党員投票に敗れて出馬を断念し、稲田後援会も解散、山崎先生も顔に泥を塗られた。他の幹部たちはその仕打ちに怒って抜けたんです。稲田さんは参院選後に菓子折を持って金井さんの自宅に挨拶に行き、金井夫人に突き返されたそうです」(同前)