安倍政権が推進する「移民受け入れ」政策は、はたして日本の国益に繋がるのか。40年近く日本で暮らす弁護士でタレントのケント・ギルバート氏(64)が、「在日外国人」の立場からあえて移民問題に斬り込む。
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私は移民の受け入れを頭ごなしに否定するつもりはない。むしろ、受け入れ態勢の拡充や、法整備を前提とした議論は大いにすべきだと考えている。ちなみに私は人生の半分以上を日本で過ごしてきたが、帰化はしていない。在留資格は「定住者」で、日本で働くために5年に1度、就労ビザを更新している。
だが、日本が現状のまま無条件に移民を受け入れることには反対だ。なぜなら、受け入れ側も、日本に来る外国人も共に不幸になることが目に見えているからだ。
安倍政権は少子高齢化による労働力不足を補うため、介護や建設などを受け持つ「単純外国人労働者」や、高い技術や知識を持った「高度外国人人材」の受け入れを進める方針とされる。
しかし、安直な外国人労働者の受け入れは日本社会を大混乱に陥れかねない。
まず懸念されるのは治安の悪化だ。例えば第二次大戦後、トルコ系を中心に多数の外国人労働者を受け入れたドイツでは、経済成長が止まっても労働者が帰国せず、二世、三世として住み着いた。技術を持たない彼らの暮らしは貧しく、貧困が犯罪の温床となり、治安が急激に悪化した。